今回はイラストレーターのお仕事をされながら、プライベートで怪談会を開くなどされているでんがみさんをご紹介します。

ーー先ずは自己紹介をお願いいたします。

出身は埼玉県で、現在は京都市で仕事をしています。
普段はWeb広告のデザインやイラストを書いています。

ーーイラストのお仕事をされて長いのでしょうか。

元々は、デザインではなく映像の仕事をしていましたが、成り行きで今はグラフィックデザインをしています。

ーーということは社会に出る前は、映像の勉強をされてきたのでしょうか。

大学は映像の専攻で、印刷物よりは映像や写真、アニメーションを勉強していました。

ただ、高校生ぐらいから雑誌自体が好きで、雑誌のデザインを見ていたりというのはありました。学生時代もフリーペーパーを作って学部内に配ったりもしていました。

ーー映像も作ってこられた中で、ZINEを制作しようと思ったきっかけは何でしょうか。

フリーペーパーを始めた時も、手元に残るものが欲しいなと思っていて、映像はその場限りの時間を使って人に見せるものじゃないですか。例えば、あとで持ち帰ってじっくり読んでもらったり、映像を観られない環境であっても映像はセリフとかありますが、全部を言葉で表すわけではないじゃないですか。映像では表現できなかったことだったり、自分が考えている、面白いと思ってることをみんなに見てもらえたらなという「お手紙」みたいな感じで配ってたというのがあります。そういった思いからZINEを作りました。

ーー学生時代に作られたフリーペーパーとはどのようなものでしたか。

「月刊ナンセンス」というタイトルで、名前の通りナンセンスなことしか取り上げませんよという内容でした。同じ学部内の友達が旅行に行ったら書いてもらおうとか、特にテーマを設けずに色んな記事を載せられればなとやっていました。

ーー何冊くらい出しましたか。

途中から月刊はキープできなかったのですが、全部で5冊くらい出しました。
だいたい12ページくらいで、印刷は業者に頼んで、製本は自分でしました。
フリーペーパーにもかかわらず、毎回フルカラーで作ってたのでだんだんとお金が尽きて行きました(笑)

ーー美大に通われてたということですが、周囲でもフリーペーパー文化というのはあったのでしょうか。

先輩が自分が好きなB級映画の俳優を紹介したものを出していました。それは新聞みたいな形だったのですが、それに対抗しようとしたというのもあります。カラーで冊子でということで、当時のバイト代を制作費に充てていました。これを作ることで他の学部の人にも配れてコミュニケーションツールになればなとも思って作っていました。

ただ、フリーペーパー文化自体はあまりありませんでした。展示会のお知らせとしてDMやチラシっぽいものを作っていたというのは見かけましたが、フリーペーパーのような形で毎回定期的に発行していたというのはほとんどなかったですね。

ーーフリーで配るのではなく販売するという考えが出てくる時代ではなかったのでしょうか。

今はコミティアでも売っているのですが、コミティアは漫画の同人誌の即売会なのでちょっと違いましたね。当時は文学フリマもまだなかったか、始まったばかりだったと思います。また、リトルプレスの作り方や、ネット印刷もようやく広まってきた頃でした。

なので、漫画の同人誌をやる人たちは売買できる即売会で売ってはいたのですが、私みたいな情報誌・レビューというものをまとめている人が売る場所はあまりなかった気がしますね。

また、中野にあるタコシェというお店のように、リトルプレスだったり、自費出版で出した本を集めたりというのはいくつかありましたが、知る人ぞ知るみたいなジャンルでした。そのため、大々的に広めるとなるとどうしてもフリーペーパーかなというのはありましたね。

ーー当時からフリーペーパーは良く読んでいましたか。

大学に通うまでの駅やお店に置いてあるものを手に取ってました。毎回楽しみにしていたのがR25ですね。

ーーR25面白いですよね。昔はフリーペーパー=クーポンみたいなイメージも強かったと思いますが、R25の登場は印象をだいぶ変えましたね。

無料だと感じさせないデザインだったり、有名なライターさんだったりしたのですごく面白いなと思いました。読んでいると、自分でもこういったくだらないことを真面目に書いてみたいと思いました。そして、周りにもおしゃべりで好きなものを語る人も多かったので、記録として残したいという思いも重なりみんなに記事を書いてもらおうってことになりました。

ーーお仕事以外で趣味や休日にされていることはありますか。

旅行が好きです。元々美術をやっていたので、お寺や美術館に良く足を運びますね。目で見て面白いと思ったもの、例えば建築物そのものに興味があります。

今作っているZINE(怪談船)も旅行のページというのを設けていて、記事にしようと思って行くわけではないのですが、あとあとZINEに載せてみようみたいなことに自然となっていますね。旅行先ではもちろん写真を撮るのですが、撮るだけで満足するのではなく、行った感想や行くことになった経緯も一つのショートストーリーになりますね。

ーー趣味とZINE作りも繋がっているのですね。おすすめの場所はありますか。

埼玉県秩父にある三峯神社がよかったです。パワースポットとしても有名なのですが、澄み渡った神聖な空気が感じられる場所でした。アウトドアや自然が好きな人にもぴったりだと思います。標高も高い山奥にあるのですが、東京から特急ですぐ行けて温泉もあるのでおすすめです。

ーー話は変わりますがZINEのテーマでもある怪談についてお話いただけますか。

「魍魎オカルト会議」というサークル活動をしています。怪談というのも色々なものがあるのですが、我々は実話怪談というのを集めています。誰かが実際に体験した怖い話や、説明がつかないけど不思議なことがあったという話を集めています。心霊スポットとかには行かないのですが、お寺とかに不思議な伝説があると聞いたらメンバーと旅行がてら取材に行ったりしています。

ーー部員はどう行ったメンバーですか。

私は副部長をしています。部員は流動的ではあるのですが、京都にいる部長と、東京と和歌山に一人ずついます。また、大阪で一人で活動している女性とも近しくしていたり、後はその時々で一緒に旅行やイベントをやったりですね。

ーー実話怪談というコミュニティは大きなものなのでしょうか。

ここ最近だとYouTubeやニコ生といった動画サイトで自分が語るというのが増えてきたと思います。そこで人気の怪談師さんが出てきたり、イベントが開催されるようになったり。そういった動きはインターネットが出てきた頃からあったとは思うのですが、今が一番盛り上がってるのではないでしょうか。

ーーZINE「怪談船」についてお話を伺えればと思います。イラストだけでなく、正に専門誌と行ったような文章も魅力的だと思いました。

ありがとうございます。雑誌が好きでよく読むだけでなく、ラジオとか聴いていても話の運び方のうまさとかも意識して、何度も読んだり聴いたりしながら文章の参考にしています。

ーー1冊に複数のライターさんが出てきますが、構成や編集をでんがみさんがされているのでしょうか。

基本的にはそうですね。ただ、大阪にデザインもできるライターさんがいて、その方には連載として1ページ丸々自由に使っていただいています。

ーーその連載はどのような内容でしょうか。

シナリオを書いている方なのですが、フィクションの怪談になります。新聞仕立てで、怪奇事件を追ったレポートという体で書いていただいています。写真とかイラストも付けてデザインされています。彼女とは京都の文学フリマで出会ったのですが、その時出品されていた作品のデザインに衝撃を受けたので、ぜひ1ページお願いできませんかという話になりました。

後は、コミック系の同人誌即売会で一緒にやっている友達に2号から連載をお願いしています。フィクションですが、霊能者に成り切って記事を一本書いてもらっています。彼女は漫画が描けるので絵と文章を構成してもらっています。

ーーその他に紹介いただけるページがあればお願いいたします。

怖い本の特集というのがあるのですが、古書店を営んでいる2人に面白い本やビデオなどを紹介していただいています。知らない作品も多く、毎回勉強になります。

後は、私が実際に見かけた変な人を紹介する「ちんビト」というコーナーがあります(笑)
日常的なもので、自分たちの身の回りに起きた小さなことでもよくよく見てみると面白いよねってことがあるじゃないですか。そういった所に着目して突っ込んでいます。

ーー取り上げられたのはどのような方でしょうか。

1号で取り上げたのは3人いるのですが、完全にファッションがやばい人たちです。
全身電飾しているおじさん、全身鈴がついているおじさん、全身ゴミで作られた服を着ている紳士的なおじさんです。
あ、見ちゃったというような人たちです(笑)

ーー気になるけど目を合わせたくはないですね(笑)

3人ともカラフルで、鈴だったら全身鈴といった謎の統一感があったりといった統一感が面白いですよね。ファッションに関しては真似はしたくないですが、曲げないぞという心意気は、何というか尊敬するという部分もあります(笑)

ーー2号に出てくるちんビトはどのような方が。

自分がコミュニケーションを取ってしまったおじさんを2人紹介しています。
見た目は風景に溶け込んでしまうような地味な人なのですが、コミュニケーションを取ってみたらあれ?という。
例えば、駅のホームで「口笛を吹いてください」と書かれた紙を渡されたおじさんです。周りに人もいたので「吹けません」と返したのですが、その時の悲しい顔が忘れられなくて今回書きました。

ーー怪談船の製本でこだわりとかありますか。

そこまでこだわってはいないのですが、紙質はテカテカしないマットコートです。みなさんが普段読んでいる雑誌とかフリーペーパーと同じような読みやすいものにしています。

また、製本ではありませんが、付録がついています。1号が「封印マグネット」、2号が「どざえもんコースター」です。2号のコースターはガラスコップの下に敷いて上から覗くとイラストが浮かび上がるようになっています。

ーーどざえもんってそういうことですか(笑)発想が面白いので、コースターだけでも売れそうですね。

ーー初版は何部でしたか。

1号は50部刷りました。全部はけてしまったので増刷しました。

ーー1号はいつ頃発売したのでしょうか。

今年(2018年)の5月くらいですね。コミティアに出した時のタイミングです。

ーー半年足らずでその売れ行きはすごいですね。

怪談会で販売をしたりもしていて、おかげさまでみなさんに買っていただいています。
同じ趣味の人にささるのかなと思います。

ーー2号の初版は。

1号の売れ行きを見越して100部にしました。

ーーそうなりますよね。理想的なペースですね。ちなみに、3号の発売予定ありますか。

はい。半年ずつ1号ずつ出していければと思っています。
3号は修行についての特集を考えています。私自身、今年に山伏の修行をしてきたのもあってそのレポートや、滝行や写経といった読者も参加できるようなものを紹介した特集にしようと思います。

ーー今回、当サイトで怪談専門誌の「怪談船」を紹介させていただきますが、これまでに作ったZINEはございますか。

「イケメンZINE」というのを作ったことがあります。絵を描いている友達と3人でグループ展をやったときに作ったのですが、3人がそれぞれイケメンという概念についてどう思ってるのか等、好き勝手に4ページずつまとめました。

ーー面白そう(笑)グループ展以外ではどこで販売されましたか。また、在庫はまだありますか。

各々が個展を開催した際、同人誌の即売会などで販売していたのですが、在庫はもうほとんどありません。

ーー残念!また増刷された際は取り扱いさせてください。本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

▼著者プロフィール

でんがみ
埼玉県出身、京都在住のイラストレーター。
本業の傍ら、魍魎オカルト会議という怪談サークルの副部長もしている。
美大在学中にフリーペーパー「月刊ナンセンス」を発行する等、公私ともに積極的な創作活動をしている。
【作品一覧】 http://proto1.xsrv.jp/product-tag/でんがみ/

 

怪談船 1号 特集「幽霊になりたいっ!!」 / でんがみ